眼の障害で障害年金を受け取れる場合

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 武田彰弘

最終更新日:2023年07月10日

1 視力障害で障害年金を受け取れる場合

⑴ 1級に該当するケース

 ①両眼の視力がそれぞれ 0.03以下のもの

 ②一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの

 ※手動弁とは、検査者の手のひらを被検者の眼の前で上下左右に動かし、動きの方向を弁別できる能力のことをいいます。

⑵ 2級に該当するケース

 ①両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの

 ②一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの

⑶ 3級に該当するケース

 両眼の視力がそれぞれ0.1以下に減じたもの

⑷ 障害手当金の対象となるケース

 ①両眼の視力がそれぞれ0.6以下に減じたもの

 ②一眼の視力が0.1以下に減じたもの

 ※上記における両目または一眼の視力が、基準値以下に減じたものとは、「良い方の視力」が基準値を下回っていることを意味します。

2 視野障害で障害年金を受け取れる場合

 視野障害については、「ゴールドマン型視野計」または「自動視野計」のどちらか一方を用いて測定します。

 

⑴ 1級に該当するケース

 ①ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの

 ②自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの

 

⑵ 2級に該当するケース

 ①ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつI/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの

 ②ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2の視標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの(「障害等級認定基準」の「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」に該当します。)

    ③自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの

 

⑶ 3級に該当するケース

 ①ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のI/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下に減じたもの

 ②自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下に減じたもの

 

⑷ 障害手当金の対象となるケース

 ①両眼による視野が2分の1以上欠損したもの

 ②ゴールドマン型視野計による測定の結果、I/2視標による両眼中心視野角度が56度以下に減じたもの

 ③自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が100点以下に減じたもの

 ④自動視野計による測定の結果、両眼中心視野視認点数が40点以下に減じたもの

3 その他の眼の障害で傷害手当金を受け取れる場合

 ①両眼のまぶたに著しい欠損(=普通にまぶたを閉じた場合に角膜を完全に覆うことができないもの)を残すもの

 ②両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害(=眼の調節機能及び輻輳機能の障害のため複視や眼精疲労による頭痛等が生じ、読書等が続けられない程度のもの)を残すもの

 ③身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 ※③の具体的内容

 ⅰ「まぶたの運動障害」のうち、眼瞼痙攣等で常時両眼のまぶたに著しい運動障害を残すことで作業等が続けられない程度のもの

 ⅱ「眼球の運動障害」のうち、麻痺性斜視で複視が強固のため片眼に眼帯をしないと生活ができないため、労働が制限される程度のもの

 ⅲ「瞳孔の障害」のうち、散瞳している状態で瞳孔の対光反射の著しい障害によりまぶしさを訴え、労働に支障をきたす程度のもの

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