障害年金を受給することによるデメリット
1 障害年金を受給することによる大きなデメリットはない 2 老齢年金が少なくなる場合がある 3 老齢年金の繰下げ受給ができなくなる 4 勤務先に知られる場合がある 5 扶養から外れる場合がある 6 死亡一時金がもらえなくなる 7 寡婦年金がもらえなくなる 8 他の年金や給付金と支給調整がなされることがある
1 障害年金を受給することによる大きなデメリットはない
障害年金の支給が決定すると、障害が改善しない限りは定期的に年金を受け取ることができますので、経済的な安定が得られ、療養に専念しやすくなります。
もっとも、障害年金を受給することによるデメリットと言いうる点が全くないわけではありませんので、以下で説明いたします。
2 老齢年金が少なくなる場合がある
障害年金の等級が2級以上であることは国民年金保険料の法定免除事由となりますので、届出を行えば国民年金保険料を納める必要がなくなります。
また、法定免除となった期間は、保険料を納付しなくても当該期間の2分の1が全額納付済の期間とみなされますので、法定免除期間分も老齢基礎年金を受け取ることができます。
ただし、反映される期間が2分の1であることの関係で、保険料を全額納付した場合に比べると、老齢基礎年金の額は少なくなるというデメリットがあります。
もっとも、老齢基礎年金が少なくなるのを防ぎたいという場合は、法定免除の届出をせずに保険料を全額納付することも可能ですので、全額納付をしていれば老齢基礎年金が減額されることはありません。
3 老齢年金の繰下げ受給ができなくなる
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で受給開始を繰り下げ、繰り下げた期間に応じて増額した年金を受け取ることもできます。
しかし、65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害年金を受け取る権利があるときは、原則として繰下げ受給の申出ができません。
もっとも、例外的に、障害「基礎」年金のみ受け取る権利のある方は、老齢「厚生」年金については繰下げ受給の申出ができます。
4 勤務先に知られる場合がある
障害年金を受給することになっても、そのことを勤務先に伝える必要はありませんので、通常は、ご自身で会社に申告しない限りは勤務先に障害年金を受給していることを知られることはありません。
もっとも、障害年金を受給している原因となる傷病と同じ傷病で健康保険の傷病手当金を受給する場合は、支給申請書に障害年金の受給または請求の有無を記載する欄があるために、この支給申請書を勤務先に提出すると、障害年金を受給していることを勤務先に知られる可能性があります。
5 扶養から外れる場合がある
障害年金受給者の方が家族の扶養に入っている場合、受給者の方の収入が障害年金を含めて180万円以上(※)になると、扶養から外れてしまいます。
もっとも、障害年金のみで収入額が180万円以上となることは稀ですので、障害年金以外に収入がない方が扶養から外れるケースは少ない傾向にあります。
※一般的には扶養から外れるのは収入が130万円以上の場合ですが、障害年金を受給している場合は、180万円以上に修正されます。
6 死亡一時金がもらえなくなる
死亡一時金とは、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が36か月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その方と生計を同じくしていた遺族が受けることのできる一時金のことです。
障害基礎年金を受給していないことが条件ですので、障害年金を受給すると死亡一時金は支給されません。
もっとも、死亡一時金は基本的に最大で32万円ですので、障害年金を受給できる場合は障害年金を受給しておいた方が有利なことが多い傾向にあります。
なお、遺族が遺族基礎年金を受給できるときは、遺族基礎年金が支給され、死亡一時金は支給されません。
7 寡婦年金がもらえなくなる
寡婦年金とは、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間の合計が10年以上ある夫が亡くなったときに、その夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻に対して支給される年金のことです。
寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者である夫が年金を受け取る前に亡くなってしまった場合に、妻に対して夫が受け取るはずだった年金額の一部を支払うという制度ですので、夫が障害基礎年金を受給していた場合は、遺された妻に寡婦年金は支給されません。
8 他の年金や給付金と支給調整がなされることがある
障害年金と同時に、生活保護、労災保険金、傷病手当金などの他の年金や給付金を貰っている場合は、他の年金や給付金の額が支給調整によって少なくなることがあります。
もっとも、支給調整後の金額と障害年金との合計額が、障害年金受給を受給しない場合よりも低くなるということはありません。
お役立ち情報
(目次)
- 障害年金を受給するためのポイント
- 障害年金申請の必要書類
- 不支給通知が届いた場合
- 障害年金における社会的治癒とは
- 障害年金の種類と金額
- 障害年金は申請してから受給までどのくらいかかるのか
- 障害年金の配偶者加算
- 障害年金の計算方法
- 障害年金における初診日
- 働きながら障害年金を受給できる場合
- 障害年金の時効
- 介護保険と障害年金は同時に受給できるのか
- 障害年金を受給できる年齢
- 障害年金の種類
- 障害年金を受給することによるデメリット
- 障害年金と生活保護の違い
- 精神障害について障害年金が認められる基準
- リウマチで障害年金が受け取れる場合
- 統合失調症で障害年金が受け取れる場合
- 精神疾患で障害年金を受給している場合の更新時の注意点
- うつ病で障害年金を請求する場合にポイント
- 人工関節で障害年金を請求する場合のポイント
- 眼の障害で障害年金を受け取れる場合
- てんかんで障害年金を請求する場合のポイント
- 心筋症で障害年金が受け取れる場合
- 額改定請求について
- 有期認定と永久認定について
- 障害年金と障害者手帳の違い
- 特別障害者手当
- 障害者手帳について
- 障害者年金
- 社会保険労務士とは
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