障害年金の時効

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 武田彰弘

最終更新日:2024年05月30日

1 障害年金の消滅時効

 障害年金には、5年間の消滅時効期間があります。

 消滅時効とは、権利を行使しない期間が一定の期間継続した場合に、その権利を消滅させる制度のことをいいます。

 つまり、請求をすることなく5年間の消滅時効期間を経過した場合は、障害の程度が障害年金を受給できるレベルに達していたとしても、受給の権利が時効によって消滅するため、障害年金を受給できなくなってしまうおそれがあります。

 参考リンク:日本年金機構・年金の時効

2 障害年金の消滅時効の起算点

 それでは、障害年金の消滅時効は、どのタイミングから起算することになるのでしょうか。

 この点、国民年金法第102条では、「その支給すべき事由が生じた日から」消滅時効が起算されると定められています。

 この「支給すべき事由が生じた日」がいつの時点なのかということについては、未だ解釈上争いがあるところです。

3 障害年金の消滅時効と遡及請求

 上記のとおり、障害年金の消滅時効の起算点となる「支給すべき事由が生じた日」については未だ統一した解釈はないところですが、実務上は、障害年金の請求時点から過去5年分の障害年金を支払うという取扱いがなされています。

 そのため、障害認定日から5年以上経過している場合でも、障害年金の請求を行えば、請求が認められた日以降に障害年金が受け取れるようになるだけではなく、過去5年分の年金も受け取ることができる可能性があります。

 このように、請求時点から障害認定日までさかのぼって障害年金の請求を行う方法を、一般に「遡及請求」といいます。

4 消滅時効や遡及請求について興味のある方はぜひご相談ください

 障害認定日における症状が障害等級に該当するレベルに達していたものの、請求するのを忘れてしまっていたり、そもそも障害認定日の時点では障害年金の制度を知らなかったりと、さまざまな事情によって障害年金の請求をしていなかったという方も少なくありません。

 しかし、そのような方でも、遡及請求を行えば最大で過去5年分、金額にすると数百万円の年金を受給できる可能性があります。

 障害年金の請求を考えてはいるものの、障害認定日からしばらく時間が経過してしまっていたため請求が認められるか不安だという方は、遡及請求についても対応しておりますので、一度私たちまでお気軽にご相談ください。

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