統合失調症で障害年金が受け取れる場合

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2022年10月21日

1 統合失調症の障害認定基準

 国民年金・厚生年金保険の障害認定基準においては、統合失調症は「精神の障害」に区分されており、例えば以下のような症状が認められる場合、障害年金の受給の対象となりうるとされています。

障害の程度 障害の状態
1級

高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの

2級 残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの

 

2 統合失調症の障害認定に関する考慮要素

 統合失調症は予後不良のケースが少なくないため、上記の表に記載した「障害の状態」に該当すると認められるものが多くあります。

 しかし、統合失調症は、罹病後数年~十数年が経過している最中に症状が好転することもあったり、逆に急激に増悪し、その状態を持続することもあったりします。

 そのため、統合失調症の認定にあたっては、発病時からの療養や症状の経過を十分考慮しなくてはならないとされています。

3 その他の精神疾患との関係

 統合失調症とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されることになります。

4 日常生活能力等の判定についての注意点

 統合失調症の方の日常生活能力等の判定においては、身体的機能や精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める必要があるとされています。

 また、現に仕事に従事している方については、労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものと捉えてはならず、その方の療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断することとされています。

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